ここまで読んできて、
何かがはっきり分かったでしょうか。
本当の自分が見えた。
答えに辿り着いた。
生き方が定まった。
もし、そうではなかったとしても、
それでいい。
むしろ、
何も分からないままここにいる
という状態こそが、
この連載の終着点です。
私たちは、
分かることで安心しようとします。
理由が欲しい。
意味が欲しい。
説明できる状態でいたい。
でも、
人生の大事な部分は、
たいてい分からないまま進みます。
なぜこの人と出会ったのか。
なぜあの選択をしたのか。
なぜ今ここにいるのか。
後から言葉をつけることは出来ても、
その瞬間に
はっきり分かっていたことなど、
ほとんどありません。
それでも、
あなたはここまで生きてきました。
何も分からない時期があっても、
何も出来ないと感じる日があっても、
人生は止まらなかった。
朝が来て、
夜になり、
体は呼吸を続けていた。
それは、
あなたが頑張ったからでも、
正しく選び続けたからでもありません。
在り続けていたからです。
本当の自分とは、
何かを達成した自分でも、
乗り越えた自分でもありません。
出来なくなったときも、
迷っているときも、
よく分からないままのときも、
消えなかった存在。
それが、
あなたです。
ここまでの話で、
私たちは何度も
「やめる」ことを勧めてきました。
探すのをやめる。
理想を追うのをやめる。
強くあろうとするのをやめる。
変わろうと急ぐのをやめる。
でも、
一度も
「あなたであること」を
やめろとは言っていません。
なぜなら、
それはやめられないから。
何をしても、
何者になっても、
何も出来なくても、
あなたはあなたでした。
人生がうまくいっている時も、
崩れているように見える時も、
その中心は変わっていない。
それに気づくと、
少し肩の力が抜けます。
何かにならなくてもいい。
分からなくてもいい。
途中のままでいい。
在り続けているという事実は、
評価の外にあります。
褒められなくても、
認められなくても、
消えない。
この連載を通して、
もし一つだけ
持ち帰ってほしいものがあるとしたら、
それは答えではありません。
「今も、ちゃんと在る」
という感覚です。
それは静かで、
主張しなくて、
何の役にも立たないように見える。
でも、
あなたがこれから
どこへ行っても、
何を選んでも、
必ず一緒にあります。
本当の自分は、
見つけるものではありませんでした。
完成させるものでもありませんでした。
ただ、
最初から最後まで、
離れずに在り続けていたもの。
それが、
あなたです。
この先、
また分からなくなってもいい。
そのたびに、
どこかへ探しに行かなくていい。
立ち止まって、
呼吸して、
「まだいるな」と
確かめるだけでいい。
それでも、
あなたはあなたで在り続けています。
連載は、ここで終わります。
でも、
あなたは続いていきます。